日常生活で体験できない自然との体感が、
豊かな人間性をはぐくむ―。

人類で初めて北極・南極の単独歩行横断を成し遂げた冒険家「大場満郎」氏。50歳を超えても、なお現役で冒険を続ける一方、子どもたちに冒険で得た経験や自然の大切さを伝えるべく、「アースアカデミー 大場満郎冒険学校」も運営しています。日本が誇る偉大な冒険家にお話をうかがいました。
僕にとって、冒険とは自分探しの旅だった
子どもたちにも、さまざまな体験を通じて、
やりたいことを見つけてほしい
世界を旅して、大自然を肌で感じ、
自分の可能性がひろがった
ーー まずは、冒険家を目指そうと思った
きっかけから 教えてください
「実家が農業をやっていたので、海外の農業視察のために旅に出かけるようになったのがきっかけだった。 アマゾン川をいかだで下ったりしながら、周辺の農村を見ていくうちに、だんだんと冒険にはまったかな。アマゾンは日本と全然違ってね、ジャングルの中、みんな裸同然で自給自足の生活をしている。日本みたいに『みんなと同じようにしなきゃいけない、勉強して働かないといけない』じゃないの。『人間はもっと自分なりに生きていいのだ』と感じて、いろいろ考えるきっかけにもなったね。アマゾンのジャングルでの生活を経験したら、もっと自分の可能性をひろげたくなって。気付けば、20年もの間、北極や南極の横断、地球一周の旅を続けているね」
ーー 一番辛かった冒険は?
「やっぱり北極横断。北極は海に浮いている氷の上を歩いて、横断しないといけないんだ。海は寒くて氷が割れるし、風が吹けば飛ばされる。夜寝て、朝起きると何十キロも流されていたりする。どっちに流れるかわからないし、海に落ちたり、熊にも襲われたり…。本当に厳しかった」
ーー 冒険家を辞めたいと思ったことは?
「もちろんあるよ。何度も辞めようと思ったけど、そこで諦めたら、自分の目標が達成できなくなると思ったから。それが一番怖かった。目標さえ見えていれば、怖くないものなんだよ。『一人での冒険は孤独を感じない?』って、よく質問されるけれど、単独での冒険を、自分で選んで行っているわけだから(笑) 孤独じゃなく、“成功や失敗”や、死ぬかもしれないという“恐怖感や不安感”というほうが正しいかな。目標に向かって自分が選んだ道を、無我夢中に進んでいるときは、孤独じゃない。孤独感というのは、目標が見えずに、迷っているときに感じるものじゃないかな」
ーー なるほど。ニートやフリーターなど目標が見つからない人が世の中にはたくさんいますが。
「そうだね。僕にしてみたら、会社に勤めている人でも、不平不満を言いながら働いている人は、同じ部類に入ると思う。やりたいことは、頭で考えるものじゃない。学校でも教えてくれないしね。いろいろな体験を通して、『あったかいな』、『冷たいな』とか、いろいろな気持ちを感じ、自分の心の中から芽生えてくるものだから。自分が本当に何をやりたいのかを見つけることができた人は幸せだと思う」
多感な時期にいろいろな体験を重ねれば、
自分の生きるべき道がきっと見つかる
ーー 「アースアカデミー 大場満郎冒険学校」の
設立のきっかけは?
「北極と南極の単独横断を何度もするうちに、いろいろなところから、講演を頼まれるようになって。各地で行った講演で、『勇気をもらいました』とか『私もやってみたい』などの声を多数いただき、『じゃあ、体験する場を提供しよう』と」
ーー 冒険学校ではどのような体験ができるのですか?
「自然とのふれあいもあるけれど、大部分の時間は、農業を体験してもらっている。自然や食べ物の大切さを知る、当たり前の体験を、今の子どもたちはなかなか経験する機会がないからね」
ーー 最後に、子どもたちにメッセージをお願いします
「自然の中でたくさん遊び、いろんな体験を積んでほしい。その中で、やりたいことを見つけて、どう生きたらいいのかを自分の頭で考えることが重要なんだ。それから、生きていくうえで一番大切なことは、しっかりご飯を食べて健康を保ち、ちゃんと寝て、体を動かして…(笑) 当たり前のことだけど、基本をおろそかにせず、大きくなってほしい」
ーー ありがとうございました
インタビューを終えて

今回のインタビューは、昨年の12月に「アースアカデミー 大場満郎冒険学校」にて行われました。聞き手となったのは、スクールツアーシップの指導責任者の利倉さん。数々の困難を乗り越えてきた、冒険家の大場さんの口から発せられる力強い言葉や、そのエネルギーに終始圧倒されていたようです。