自分の夢を見つけて、最後までやり抜いてほしい結果が良くても悪くても、必ず何かをつかめるから―

90年代に「ら・ら・ら」や「夏が来る」などのミリオンヒット曲を生み出した、日本のポップミュージック界が誇る実力派アーティストの大黒摩季さん。自身の音楽活動のかたわら、出身地北海道の校歌をプロデュースしたり、さまざまなチャリティーコンサートにも積極的に参加している大黒さんから、お話をうかがいました。
夢への逆算をいつも考えていたそして自分のダメな所を直す努力をしてきた
―歌手になろうと思ったきっかけから教えてください
「3歳のころからクラシックピアノを習っていて、物心ついた時から音楽に慣れ親しんでいたかな。ピアノの発表会に出たり、中学生になるとバンドを結成して音楽にあけくれていました。18歳の時に、『東京に行ってミュージシャンになろう!』と一念発起して上京。今振り返ると不思議なのだけれど、『私は絶対歌手になる』となぜか思い込んでいました(笑)」
―夢というよりは、すでに歌手になるつもりでいたのですね
「そう。たぶん夢に対していつも逆算をしていたのだと思う。『どうしたら叶うのだろう』と悩むのではなくて、『なぜなれないのだろう、できるはずなのに』って(笑)。 上京して、オーディションを受けていた時も、なぜデビューできないのか、楽曲や作詞がダメなのか、パフォーマンスがまずいだろうか…。とにかくその原因を探して分析して、自分の足りない部分を埋めていく努力をしていました。音楽の世界で生きるためには、何が必要かを検証して、努力は惜しみませんでした」
―その努力が実り、歌手として成功をおさめられましたが?
「何かを成し遂げたという達成感やこれで完璧だなんて思うことは一度もなくて、音楽に対する理想はどんどん大きくなっていますね。それは音楽の世界に限ったことでなく、人生も同じじゃないかな。さらなる望みや欲求が、人に次に進むべき道を作ると思う。行きたい場所が決まれば、地図が選べるし、地図を見れば目的地にたどり着くための道は何本もあることがわかる。何をしなければいけないのかもおのずと見えてくると思います」
―歌手になって一番うれしかったことは?
「重い病にふせている人や生きる気力を失っている人たちから、『あなたの歌を聴いて元気になった』『はげまされた』と言われた時。世の中を動かしていると言われる政治家や官僚でもなく、このちっぽけな私が歌う歌が、その人の心に届いているのだと感じられるんです。困難を乗り越えていくのはその人自身だけれども、私の歌が何かのきっかけになれればうれしい。私ができることは歌を歌うことだけだから」
苦労しても何かにはねかえれば、思い出になるだから最後までやり抜くことが大事
―幼少時代はどんなお子さんでしたか?
「子どものころはわりと内向的で、外でみんなと遊ぶというよりは、家の中で歌ったり、楽器を演奏することが好きでした。誰に相談していいのかわからない悩みも、たくさんのアーティストの音楽を聴いて解決できたこともありました。愛って何? 恋って? 正義とは? 夢ってどうやって叶えるの? とか…。学校では教えてくれないことを音楽の歌詞からたくさん学んだかな」
―今の子どもたちを見ていて、何か感じることはありますか?
「子どもたちをもっと自由にのびのびさせてあげたい。『あれはダメ』や『これは危ない』ばかりでは何もできないし、何より子どもたちが夢を描けなくなってしまうのではと思う時がありますね。誰も自分の進むべき道を見つけようとも切り開こうともしなくなってしまう。子どもたちには、勉強だけでなくて、いろいろな種類の体験をしてもらいたいですね」
―中学校の校歌を作詞作曲されたり、病気と闘う子どもたちへのチャリティーコンサートに参加されていますが、その経緯は?
「『慈善活動をしよう』みたいな重々しい想いからではなくて、もっと単純に今まで15年間も歌手をやってこられたのは周りの人たちのおかげで、その人たちへの感謝の気持ちが湧いてきたからですね。大黒摩季という自分をはぐくんでくれた北海道への恩返しや何か協力ができないかと。結婚もしていろいろな人生経験を積んで、自分の心にも余裕が生まれてきて、感謝の気持ちを形にして返したいと思ったのがきっかけです」
―最後に子どもたちにメッセージをお願いします
「やりたいことは、がんばれば絶対にできるようになる。私は歌手になる前に『あなたは才能がない』ってさんざん言われました。オーディションもたくさん受けて、ことごとく落ちたの。私の周りには天才や有能と言われる人たちがたくさんいたけど、でもいつの間にかみんな消えていってしまった。今で言う負け犬人生を歩んできた私が言うのだから大丈夫(笑)。『夢は一生懸命やれば必ず達成できる』、できないならば、何かがちょっとズレていたり、足りないだけだと思う。それを見つけてまたがんばれば、できるようになる。だから諦めないで! 夢という花を咲かすのは、親でもなく先生でもなく、自分自身だから。どんな小さなことでもいいから、一つのことをやり抜いて、一輪でも花を咲かせてみてほしい。そうしたら、また次の自分の花を見たくなるから」
―本日はありがとうございました

今回のインタビューの聞き手となったのは、スクールツアーシップの指導責任者の利倉さん。インタビューを通して、まっすぐでピュアな心の持主だと感じた一方、夢や理想に対しては貪欲なまでに熱い情熱を注ぎ込む強さを、大黒さんの発する言葉から感じとったようです。